仕事場にお邪魔させていただくと、3台の織機の音が軽快に動く音が聞こえてくる。
この中のどれかは当店へ出荷する畳表が織られている。村岡氏からここで最初に
藺草の根本から完成に至るまで丁寧に、そして厳しく教えていただいた。十年近く
扱っている今もそのブランドは変わらない。 特に当店のお客様も驚く織り込みライン
(目立ち)は美しい。原草の段階から色や長さなど複数の選別を経て選び抜かれた
藺草。その中でも1本1本粒が違う藺草を独自の想い(理想)の中、織機屋さんの技術
で共に改良を重ねた織機のラインに乗せて仕上げていく。前段階では大きさも太さも
違う藺草が織機の中で均等に並んでいる。同時に中に入る縦糸とのバランスも重視
する。一切のたるみがないように引っ張りあげた糸に、それに負けないように適切に
加湿された藺草を打ち込む。少しでも加湿の加減が多いと草が膨らみ、たるんで
しまう。原草の選別、糸の加減、草の湿度、ここはすべて職人の手により良し悪しが
大きく左右されるところだ。この行程を経て出来上がったのは3人(生産者、山園織機
製作所 マルヱ畳糸の達人)の技術がうまく融合された畳表だ。固さを持ちながらも
表面は目立ちが特に目を引く。これが本物の特上品の畳表である。村岡氏は言う。
「触っただけでこれは素晴らしいと思われるのが理想だ。」
見た目だけではなく触って初めて良さを実感する。そんな畳表がここにある。
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