生産者ご紹介
ここでは実際に当店で扱わさせていただいている、畳表の生産者の
方々をご紹介させていただきます。完成次第 順次更新予定です。
※順は不動です。

村岡洋光氏

仕事場にお邪魔させていただくと、3台の織機の音が軽快に動く音が聞こえてくる。
この中のどれかは当店へ出荷する畳表が織られている。村岡氏からここで最初に
藺草の根本から完成に至るまで丁寧に、そして厳しく教えていただいた。十年近く
扱っている今もそのブランドは変わらない。 特に当店のお客様も驚く織り込みライン
(目立ち)は美しい。原草の段階から色や長さなど複数の選別を経て選び抜かれた
藺草。その中でも1本1本粒が違う藺草を独自の想い(理想)の中、織機屋さんの技術
で共に改良を重ねた織機のラインに乗せて仕上げていく。前段階では大きさも太さも
違う藺草が織機の中で均等に並んでいる。同時に中に入る縦糸とのバランスも重視
する。一切のたるみがないように引っ張りあげた糸に、それに負けないように適切に
加湿された藺草を打ち込む。少しでも加湿の加減が多いと草が膨らみ、たるんで
しまう。原草の選別、糸の加減、草の湿度、ここはすべて職人の手により良し悪しが
大きく左右されるところだ。この行程を経て出来上がったのは3人(生産者、山園織機
製作所 マルヱ畳糸の達人)の技術がうまく融合された畳表だ。固さを持ちながらも
表面は目立ちが特に目を引く。これが本物の特上品の畳表である。村岡氏は言う。
「触っただけでこれは素晴らしいと思われるのが理想だ。」 
見た目だけではなく触って初めて良さを実感する。そんな畳表がここにある。



鋤田博之氏
まず目にしたのはとても清潔に保たれた仕事場だ。機械も山園織機製作所
の最新設備を何台も揃える。時代の変化にも柔軟に対応してきた鋤田氏は
「{昔からこうだったから…}ではいけないんだ」と力強く話した。
織機にはラベル自動折り込み装置も付いている。これは「間違いなく自分が
織った畳表」だという証拠。さらに織機に乗せる直前のイ草も、最新の
テクノロジーの加湿機で天候状況に合わせ徹底した管理の下、完璧に加湿
をコントロールする。畳表が完成した後の干しあげは長年の経験で上手に
水分を抜いていく。中に織り込まれた糸はマルヱ株式会社との協力により
織機の機能を最大限に使い麻糸も限界まで張る。そうする事により経糸を
巧みに引き出し、どんな畳床にも張りやすいように作っている。
その為には織機の定期的なメンテナンスも欠かさない。イ草の管理は苗の
植え付けの時点からこだわる。1株ずつ丁寧に分けて植えるポット植えだ。
後半の生育が違う上に粒ぞろいも良くなる。また1反あたりの取れる量が
多くなり質も向上する。織り、草、仕上がり。全ての点で安定したものを供給
する。それはまさにメーカーという肩書きを持つ生産者だ。
「作るのが楽しい」。織りにも見えない部分にもこだわるご夫婦には常に
そんな雰囲気が漂っていた。


堀口義孝氏
若藺会に所属する堀口氏。仕事場に行くと、今では珍しくなった「平田式織機」
が顔を出す。「中村式織機」が一般的になりつつある中で、織機にもこだわる
理由。それは「仕上がった時の面づらが柔らかいんだ。」と堀口氏は口を開いた。
少し幅の広い織機だが、イ草をしっかり合わせて打つ。仕上がっていく畳表は
表情が柔らかく見えた。でも地締めもしっかりしている結果、触れたときには
どっしりとした感覚がある。
堀口氏とはお酒も良くご一緒させていただく。楽しく飲んでいる時も「かとちゃん。
1番大事なのは仕上げだよ。どんなに素晴らしいイ草があっても乾燥がうまく成功
しても最後の仕上げが少しでも荒れると意味がないんだ。」と真剣な眼差しで
話しかける。1年という長い期間の中、生の草から畳表となるまで一切の妥協は
許されない。またその年の気候によって取れるイ草が違い、一生イ草を栽培しても
二度と同じものは取れない。それ故、その時取れた草をその年のベストな畳表に
仕上げていく。いつも念頭にあるのは消費者の皆様に安心して使って喜んで
もらえたら、ということだ。お客様には当然の「傷は出さない」というのは簡単には
出来ないものであると私も常々実感させられた。